収奪

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今日はレンタルビデオ店でシフトが入っていたので、準備を終えて店の中にと出る。 そんな俺を待ってました!とばかりに、駆け寄って来る奴がいた。 「くっろいわ~」 「おー、はよー」 やって来たのは有岡だった。 有岡とはこのレンタルビデオ店に入ったのが、ほぼ一緒の同期だ。 その為か親近感が湧いて、遅番メンバーの中では、一番仲良くしている。 やって来た有岡は、何故かニヤニヤと笑っている。 …何かいいことでもあったのか? 「黒岩!聞いて喜べ!ついに遅番メンバーに女の子が入って来るんだってよ」 「マジか?」 その言葉に、つい食い気味で訊いてしまった。 遅番メンバーには俺と有岡以外に、全員で7人いる。その内男と女は半々だ。 だがしかし! 4人も女がいると言うのに、あまり女としては見れない子ばかりだった。 アニメオタクの女。ブリっ子女。冴えない女。そして30を越えたチーフ…。 俺もイケメンの部類ではないので、人のことは言えないが。 バイトの職場に潤いはなかった。 関わりはなくてもいい。 ただ職場に目の保養になる女がいて欲しい─。 それが俺達遅番メンバー、男共の願いであった。 あ。川上は彼女がいるから、川上は除外だ。 …と、まぁ。俺もついこの前までは彼女がいた訳だから。特に何とも思っていなかったのだが…。 別れた今、俺にも目の保養は欲しいなと思ってしまった。
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