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「…」
デイダラは以前少女を抱きしめ、それを見つめるサソリ。
「デイダラ、もう帰ろう。身体が冷える」
「……まだ」
サソリは少女の髪をナイフで切る。
「!?」
そしてデイダラに差し出して言った。
「これはこいつが生きた証。そしてお前と血がつながる証。こいつもお前と同じ生き方をしたかっただろう。理解者が欲しかっただろう。お前はその思いを背負って生きていく必要がある。お前はあの女を切り捨て、こいつの様なやつを導ける奴になるんだ。こいつの思いを胸にな。いつまでもあの女に縋ってはならない。俺には出来なかったが、お前にはその覚悟があった。それを生かせ、お前を俺は導く。」
「…っ旦那…」
デイダラは目を擦り、髪を受け取ると大切そうにゆっくりと彼女を地に置く。
そして立ち上がった。
「ありがとう」
自分にはデイダラのような覚悟がなかった。でも、自分はデイダラの唯一の理解者だから、自分はデイダラを導かなければならない。そう感じた。そしてたくましくなったデイダラを見て、自分も両親と離別しなければならないと思った。いつまでも縋ってはならない。いつか他人が見えなくなる。
その為にはデイダラが必要だ。デイダラは自分のように導くことはなくても、自分の存在を確かめてくれる。自分が覚悟を決めた時、隣にデイダラがいて欲しい。デイダラは自分を必要とし、自分もデイダラを必要としているから。
「今日は、ありがとな、旦那」
「いや…傷、ちゃんと病院行けよ」
「うん…。オイラ、旦那といるとなんか嬉しいぞ」
「…そうか」
「あ、電車きた」
「じゃあな」
「うん、また明日な!」
サソリは、俺もお前といると嬉しい、その言葉を胸に秘めた。
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