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教室に響き渡るホルンの音。
「…よし、音取りは出来たから…」
「あちぃー」
デイダラは第一ボタンを開けてパタパタする。
「おい、はしたねぇぞ」
「えー…だってあちーもん、うん」
「…クーラー入れるか」
「本当か!?」
「お前が集中しなかったらこの練習の意味がない」
「やったー!!」
サソリはそう言ってクーラーを点ける。
「ただし、集中しろよ」
「…はーい」
「この曲は今年の文化祭で発表する」
「まじか、うん」
「そうだ。そこではお前に特別にホルンを頼む」
「オイラに?旦那は?」
「俺は指揮をしなければならない、っていつも部活で指揮してんだろーが」
「あ、そっか。特別にってどゆことだ?うん」
「普通高1は文化祭は発表に参加しない。練習が足りないからな。だがお前は特別に練習を受け、俺が本番までに発表できる並の腕にしている。ホルンは今まで他の楽器での代用か放送でごまかすかにしようと思っていたんだがな。お前のお陰で生で出来るようになった」
「オイラがあの芸術を伝えるのか…!!」
「まぁな。だから練習がんばれ」
「わかったぞ!うん!」
とは言ってすぐにデイダラのペンは倒れる。
「やっぱあちぃー」
「クーラー入れてもか」
「あちぃーー」
「まだ6月だぞ」
「しらねぇーよ、あちぃーー」
「…帰りにアイス買ってやる」
「まじで!?」
「あぁ。だからさっさとさっきとった音階名で書いとけ」
「よっしゃ!アイス~アイス~」
デイダラの子供な反応にサソリは頬が緩んだ。
「旦那何のアイス食べるんだ?うん」
「そうだな…お前が買ったやつでいい」
「旦那あんまアイス食べないのか?」
「そうだな。家にもねぇしな」
「アイス無しで生きてんのか!?」
「クーラーガンガンだから必要ねぇんだよ」
「オイラなんて全部リーダーと飛段が食っちまうから名前書かないといけないのに…」
「悔しかったら俺ん家こい」
「チェ、お金持ち」
「環境に悪いけどな」
「本当だぜ。地球に優しく、だぞ!」
「お前のその長い髪を乾かすのもかなり電力が入りそうだがな」
「あ…」
「冗談だ、ほら、さっさと書け」
「ほーい」
蝉の鳴き声を背に。
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