第1章

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夕飯は、今朝、母が宣言したように、当時の私の大好物を準備してくれていた。 母の作ったハンバーグが大好きだった。 その懐かしい味に、再び泣きそうになる。 必死に涙をこらえ、泣きそうになるのを隠しながらハンバーグを口へと運ぶ。 その日、夕飯の後、リビングで両親と姉とおしゃべりをした。 今日、学校で何があったか、友達と何をして遊んだのか、など、話すことは尽きなかった。 家族というものがこんなに暖かく良いものだと、私は初めて感じたのだった。 当時はこれが当たり前で、それが当たり前でなくなる日がくるなんて考えたこともなかった。 もう二度と戻ることのできないこの時間が、私はとても楽しく、嬉しかった。 夢ならば覚めないでほしい…。 そう思ってしまうほど、私が家族の暖かさを感じていた。
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