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桜がひらひらと舞い落ちる。
私は窓からそれを見つめていた。
「亜希子、久しぶり。」
私の部屋のドアを開けて、姉の美佳子が入ってきた。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「久しぶりに妹に会いにきたんじゃないの。」
そういって姉は笑う。
「それにしても、ここまで大きくなるなんてね…。正直、あの時あなたの電話には驚いたわ。数年ぶりに突然電話が来たと思ったら『児童養護施設を作ることにしたの。』だもの。どうしたのかと思ったわよ。」
「…いろいろ、考えたの…。『家族』について…。」
「…何があったのかはあえて聞かないわ。でも、私を頼ってくれて嬉しかった…。」
「お姉ちゃんにはとても感謝してる。児童養護施設を始めたところで、子育て経験のない私にとって、子供たちのお世話の仕方なんて分からないもの。お姉ちゃんの手伝いがなかったら、私はここまで頑張れなかった。」
「本当にねぇ…。子供嫌いだと思ってたあんたが、まさかこんなに良い園長先生になれるなんてね…。」
「子供が嫌いではなかったのよ。どう接していいの分からなかっただけで…。」
「ふふっ。そうね、今のあなたを見てると、とても分かる。ここの子供たちは、皆あなたのことが好きだもの。」
私は姉の言葉に、部屋の窓から外を見た。
庭で遊んでいる子供たちが、私の姿に気付くと大きく手を振る。
1億円が当選したあと、私はすぐに仕事をやめた。
そして専門学校へ通い、保育士の資格を取った。
それから保育園で数年保育士の仕事をした。
その後、実家を売り払い、そのお金と当選した1億円と貯金とで、都心を離れた郊外にこの児童養護施設を建てたのだった。
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