第1章

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宝くじを購入して数ヶ月が過ぎた。 宝くじを買ったことなどすっかり忘れていて、私は相変わらず家と会社の往復のみの生活をしていた。 実家に帰ってきたとはいうものの、地元の友達と連絡を取っていたわけでもないため、懐かしい友人に会ったりということもなかった。 煩わしいと思っていた両親がいないことにふと寂しさを感じることもあったが、いないとこうも気が楽なのかと、娘として冷めた思いになることもあった。 両親がいたときはまめにここへ帰ってきていたようだった姉も、今は私しかいないからかまったくといっていいほど顔を出さない。 でも、それもまた気楽だった。 姉に会ったところで、話すことは何もないのだから。 家にいても何もすることがない私は、連日のように残業をしていた。 自主残業なので残業手当はでないが、家に一人でいるよりは仕事をしてるほうがよかった。 休みの日も出勤したりして、上司に暇人かと笑われたりしたが、そんなことはどうでもよかった。 家にかかっていなかったため、気付けば家が散らかっていた。 さすがにそろそろ片付けないと…と、私は久しぶりに仕事を休み掃除をすることにしたのだった。
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