第1章

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しばらく掃除をしていて、ふと、引き出しをあけるとそこに宝くじがあった。 そういえば、前に買ったっけ…。 当選番号の発表はとっくに終わっている。 引き換え日はまだ余裕があるようだ。 私はパソコンのスイッチを入れ、宝くじの当選番号を確認してみることにした。 どうせ1等なんて当たるわけない。 一番下から見ていく。 ハズレ…ハズレ…ハズレ… 順番に見ていくが、見事に全てはずれている。 「だよね…。」 ポツリとつぶやく。 いよいよ、上位3等。 ここからは当選金額が億単位になっている。 ますます当たる気がしない…。所詮、若い子達の話を噂話なんだろうな、と考えながら番号を確認していく。 5…7…8…2…9…4… え…、ちょっと待って…? 1…7…3…? 番号が一致した。 何度も何度も確認する。 何度確認してもやはり番号は一致していた。 慌てて金額を確認すると 当選金額 1億円。 うそ…1億円…当たってる…。 思わず呆然としてしまう。 すっかり掃除のことは頭からすっぱぬけ、1億円という文字が頭の中をぐるぐると回っていた。 お金がほしかったわけじゃない。 ただ、本当に気まぐれに宝くじを買っただけだ。 こうして住む家もある。 養う家族なんていない。私は一人だ。 1億円なんて、あっても困る。むしろいらない。 仕事は今の私にとって唯一生きてることを実感できるものだ。 お金があってもやめる気はさらさらない。 こんな大金、どうしよう…。
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