第1章

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「何してるの!!?顔は洗ったの!?学校の準備は機能で終わったんじゃないの!?ほら、ほら!さっさとしないと、絵美ちゃんが迎えに来るわよ!!」 懐かしい母の急かす言葉。 毎朝、同じ台詞を言われていた。 当時はうるさいなーとしか思っていなかったのに、思わず笑みがこぼれる。 「なーに笑ってんの!!ほら、さっさとする!!」 「はーい!!」 私はそういうと、再び洗面所へと駆け出した。 これは夢なのか?いや、きっと夢に違いない。 それならば、目が覚めるまでこの懐かしい世界を楽しもう。 私はそう思い、顔をごしごしと洗ったのだった。 朝食も懐かしかった。 父がご飯派だったため、母は毎朝ご飯と味噌汁を準備していた。 そして、納豆と卵焼きとベーコン。 時々焼き魚もあったが、母の朝食は基本的にこのメニューだった。 子供時はなかなか朝食が食べられなかった私は、いつも味噌汁を飲み干すのに精一杯だった。 けれど今は、体は幼い私でも心は大人の私である。 懐かしい母の朝食にお腹がグーッとなる。 あっという間に朝食を完食した私を、両親と姉が驚いた顔をして見つめていた。 「ちょっと、すごい食欲ね…。どうしたの?」 母が言った。 「…なんだか、すごくお腹すいてて…。」 そこまで言った後、私はどうしても母に言いたい言葉が頭に浮かんだ。 ちょっとためらったが、今言わないと後悔しそうな気がした。 当たり前すぎて、実際の母に一度も言うことがなかった言葉だった。 「お母…さん。その…。とってもおいしかった!!」 私の言葉に、母はびっくりした顔をしたが、すぐに嬉しそうに笑うと 「そ、よかった。じゃあ、夕飯は亜希子の好きなものを作ろうかな。」 と言ったのだった。
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