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「眠いか?」
タクシーの心地良い室温と揺れによって、少し瞼を重くした私を、左上から杉浦所長が覗き込む。
「飲み過ぎちゃったかもしれません。」
微笑む私の目の下には、このところ眠りが浅かった為、化粧ではカバーしきれていない色素が覗いている。
その部分にそっと薬指を触れた杉浦所長は、優しい目をし、自分の太腿に私の頭を移動させた。
「眠れるなら、寝た方がいいよ。着いたら起こしてあげるから。」
窓の外を見てそう言う杉浦所長の声が、少し、遠退いていった・・・。
そのまま、心地良い揺れに身を任せ、気付くと私は眠っていた。
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