~ 大人になるということ ~

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「高田さん、急で申し訳ないんだけど、今夜時間を作ってくれない?」 午前中から本部での会議があって出掛けていた部長が、帰社し事務所の扉を開けるなり、そう言った。 石田部長は、ホームの現場から営業職に来た出世頭の女上司。 お酒は好きらしく、毎週の様に週末は営業の人達を引き連れて飲みに行っている。今まで私も誘って貰ったことはあったが、こんな風に改まった雰囲気で誘われたのは初だった。 「何かあったんですか?」 部長の席に向かい、タオルを渡しながら訊ねてみるが、 「急で申し訳ないわね。ごめんなさい、私、この後また出掛けなきゃいけないの。ここで話すと長くなりそうだから・・・。ここ、18時半に石田で予約してあるから。」 そう言い、部長は書類の入った封筒を持つと、 まだ雷の止まない外へ行ってしまった。
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