爺さんの話

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爺さんの話

ここ数年前から、携帯やスマホなどを手放しで使うものが少々いるようだ。 私は最近、行くところは決まっているので、そういう光景にはお目にかかっていないのだが。 電車の中で、大声で話している輩がいた。 ひとりだけで。 ヘッドホンをしていたので、そのハンズフリーの存在を知ったのだ。 車などで使う分には差し障りはないんだろう。 しかし、危険なことには変わりはないのだが。 そういった、ハンズフリーなのだが、つい先日、図書館の喫煙所で、ハンズフリーの爺さんがいた。 いや、正確に言うと、大声で独り言を言っているようだった。 私は、こういう行為も、ハンズフリーと名づけた。 たぶん寂しいのであろう。 誰でもいいので、話がしたいのだろう。 その切欠が、迷惑な独り言だと思う。 私がそこを立ち去ると、黙り込んだ。 たぶん、そうなのだろうと納得した。 こういう爺さんは、身の回りにいるだろう。 昔の自分を語る迷惑な爺さん。 なにをそんなに自慢したいのかわからないが。 ひどい輩は、会う度に同じ話をする。 そして、時間がある時は、繰り返し同じ話をする。 もう、うんざりだよな。 その図書館で、資料を探し、少々勉強のようなことをして、再び、喫煙所に行った。 ハンズフリーはまだいたのだ。 困ったものだ。 さっきは、耳を閉じずに耳をふさいでいたので、なにを言っているのかは知らないのだが、今回は、聞き耳を立てることにした。 「あそこの、パチンコ屋の地下に、でっかい金庫があって、鍵を開けっ放しにしてカネを積めてんだよ…」 ということを言っているのだ。 そんな話を、誰が信じるものか。
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