第1章

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 私の名は美優。とある時代劇に出演していた俳優に惹かれた。だが、その時代劇は再放送だった。その俳優の名は井田秀夫という。調べてみると、彼は早逝してしまっていた。会いたい気持ちが募った。会いたかった。どうすればいいのか。そうだ、私の手元には大金の一億円がある。これを持って、有名な物理学者である秋原先生に、タイムマシンを作ってもらうのだ。そんなことができるのか。やってもらうのだ。一億円で。  私は秋原先生の元に向かった。会ってもらえるのか、全く自信がなかったが、何と、会ってくれた。秋原先生も、タイムマシンに興味があったようで、作ってくれるという。こんなに嬉しいことはない。まだできあがってもいないタイムマシンに心を動かされた私だった。  秋原先生から、タイムマシンが出来上がったという知らせが届いた。先生は、まだ試作段階なので、成功するかどうか分からない、そのためにはテストで、一度過去に戻る必要があるとのこと。勿論テストを私が受けることにした。  出来上がったタイムマシンに乗り込む私。果たして、私の願った時代に向かうことができるのか。また、そこで、憧れの井田秀夫に会うことができるのか。分からない。わからないが、このタイムマシンは秋原先生の渾身の機械だ。成功するに違いない。そう私は思って、タイムマシンの操縦席に座った。行き先は、勿論、井田秀夫のいる時代だ。  タイムマシンの設定を合わせる。そして、スタートボタンを押す。  井田秀夫に会うのだ。絶対に。  そして、タイムマシンの姿は、秋原先生の目の前で、消えた。
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