幸せの略奪者

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本宮先生にたしなめられ、私の決めつけた言い方がまずかったと思った。 「すみません何も知らないのにあんなこと言って。事実を教えてください…」 麗花さんも努めて冷静になろうとしてるようだった。 彼女にも私の知らない苦労があったのだろうと思えてきた。 「赤ちゃんは確かにいたわ。まだ小さな小さな点にしか見えなかったけど。間違いなく、真行さんの赤ちゃんだった」 その当時を思い出したのか、すごく穏やかで母性に満ちた表情を見せた麗花さん。 だけどそれもほんの一時で、また色を失った表情に戻っていった。 「……流れちゃったの。お腹が急に痛み出して、病院に駆け込んだけど間に合わなかった。この世に産まれることなく、あっという間に私の中から居なくなってしまったの……」 流産……………。 それじゃ、その後の10年間でも赤ちゃんができることはなかったんだ……。 10年経って、初めて知った真実。
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