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「そんなに気負わなくていいんです。私と母の説得には限界があって、これ以上打つ手がないといいますか…。距離が離れているのもあって、年に一度会えれば良い方ですし。話をしてもらえるだけでも、ありがたいんです」
家庭の事情ってそれぞれだし、下手に首突っ込むのもどうかと思うから、佐伯主任に家族のことを詳しく聞き出したりしたことはない。
だって、主任が話したくなったら話してくれるだろうし、私だって自分の家族のことを簡単には話せない時がある。
自然体でいるのが一番だと思うから。
無理して話すことじゃないと思うから…。
「あの…約束はできませんけど、努力はしてみます。私なんかでお役に立てるのか自信ありませんが……」
「ありがとうございます!私の真剣な気持ちが少しでも伝わってくれれば、兄の気持ちも少しは動くかもしれません。まずはその切っ掛けがほしいんです。蘭さん、無理なお願いをしてすみません…」
結局、仕事の話とは言い難い内容しか話せなかった…。
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