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「この者は、何者だ!!」
叫びともとれる怒鳴り声で、僕の意識は今の状況へと戻ってきた。
無駄に広い空間にずらりと並ぶ、騎士やローブを着た怪しい集団。
前方には椅子が3つ。
1つは空席になっていて、1つは女性が座り中央の椅子の前で怒鳴っているのは、国王らしき男性。
いつの間にか、国王の前についていたらしい。
「国王様!しかし、確かにあの魔法陣に現れたのはこのものにございます!!」
最初に目の前にいたロープの男性が必死になって国王へと説明している。
それでも、国王の眉間にシワが増えるだけで意味がないようだ。
「失敗だ!この者は勇者などではない!!」
盛大なため息と共に国王は、崩れるように椅子へ座る。
その落ち込みようと言ったら、凄いものだ。
「ですよね~?いや-、僕も何かの間違いだと思ったんですよ~?」
ガチャッ
一斉に、騎士が剣に手をかける音が響き渡る。
僕、別に何もしないんだけど?
「そんな…私が失敗など…私が……」
「おいあんた、さっきからグジグジと煩いな。国王様も違うって言ってるだろ?僕自身だって、はっきりと違うといえるよ!
どうせ、伝説だとか何かで?
黒い髪、黒い瞳をもった異世界からの勇者が現れるとかそんなところだろ?
確かに、僕もその容姿に当てはまるだろうけど?
断言する、僕は勇者じゃない!
僕は、女だ!!!
」
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