婚活セミナーと旅立ち

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 ドレスの彼女がふふっと笑う。 「そもそも、何でフルネームで呼んでるのよ!」 「フルメタル? まあ、細かいことは途中で説明いたしますから。今はこうして話している時間も惜しいのです。とりあえず出発してください。さもなければ……」  リオガはドレスの胸元からスイッチのようなものを取り出して芽衣に見せつけた。 「これでいつでもサトウメイを粉々にできるのですよ? クレイドアムフを汚したくありませんの。ほら、早くそこにお座りなさい」 「う……分かったわよ」  あれを奪い取ったところで撃たれるだけだ。芽衣はため息をつきながら。仕方なく操縦席に腰を下ろした。硬そうに見えていたが、意外と柔らかく、尻にフィットして座り心地は抜群だ。 「んで、どうすりゃいいの? こんなの動かしたことないのよ。勘違いしてるみたいだけど……そもそも、あたしはただのOLでオートマしか運転できないんだけど」 「オーエルとオートマが何かは存じませんが、確かに初めて見る機体なら戸惑いますわね。クレイドアムフ。操作方法を教えてあげてください」  すると、一瞬の間があってまたあの真面目そうな女性の声が聞こえてきた。 「リオガ様。本当にこの輩に私を託そうと言うのですか?」 「自動航路装置が壊れて自律飛行ができないと言ったのはクレイドアムフだったのを忘れたのですか? 私はあんなことできませんし……だからこうして現地人の力を借りるしかないと、あれほど話し合ったではないですか」 「しかし……」 「クレイドアムフ。お願いですから」 「……分かりました。あー……えっと。サトウメイと言ったか。同じことは二度と言わない。いいな?」  そうして有無を言わせぬ説明が始まった。  詳しい内容は不可解な単語も出てきたため良く分からなかったが、要は右のペダルがアクセル、左がブレーキで、両手で操作できる操縦桿はそれぞれ左右の翼を動かすようになっているらしい。  昔ハマっていたゲームセンターのゲームを思い出す。 「自動操縦の回路はやられてリオガ様がマニュアルに設定された。私は操作に干渉できない。航路は目の前にあるウィンドウに表示されるから、良く見て慎重に動かせよ?」 「分かったわよ」確認するようにペダルと操縦桿を見た芽衣が顔を上げる。「……ところで、あんたはどこから喋ってるわけ? 管制室? それとも上に船か何か停まってんの?」 「この船が私なのだ」 「え?」
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