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「僕はロランが銀髪しか好きじゃないんだと思っていたんだ」
「……そう、とられたのか。確かに銀髪は好きだけれど、俺はリュシーが好きだよ?」
(銀髪が好きだから近づいたと思っているのか? 確かに見た目も銀髪も好みだけれど、それだったら愛人にすればいいだけだしな。うん、やっぱりリュシーはアホだ)
そうやってすぐに悪口を挟むなといいたい。
でも好きだと言われたからそれで帳消しにしてやると僕は思いながら、
「本当に僕が好きなら、どうして、まるで僕を狙うかのように来たのですか? 僕はごく普通の一般人ですし」
「そうですね……」
(説明か……説明したらしたで、どうだろうな。先に体を落としておいた方が確実にリュシーが手に入る気がするしな……)
「僕はロランが好きだよ。……だから銀髪しか好きじゃないんだと思って、ゲームで諦めてもらおうと思ったんだ」
「……」
(どうしてこう、いきなり破壊力抜群の言葉を言うんだ。く、襲いたい。可愛過ぎる。狙っているのか?)
何故かロランが萌えていたので僕は、聞きだすために、
「だったらせめてどうして僕を選んだのか教えて欲しい。初めから僕を狙っていたみたいだから」
「それは……」
(どう説明したらいいかな。そう、確かあれだ。銀髪令嬢を侍らしていたら、お前もそろそろ妻を連れて来いって言われて、丁度いい相手がいるから連れて来いと言われて渋々見に行ったら一目ぼれしたんだよな……)
「え? 妻?」
同性同士はままある事なのでその辺はいいとして、何で見ず知らずの僕がロランの妻にと僕が思っていると、そこでロランの顔から表情が消えた。
「……今、俺は言わなかったよな?」
(まさか)
「え、えっとあの……何だか怖くなっていませんか?」
「思っただけのはずだよな、妻って」
(という事は)
その声を聞きながら僕は、自分がとても危険な事になっている気がした。
顔を蒼白にしている僕に、ロランは僕をじっと見てから、
「……てっきり先読みの能力かと思ったが、どうやら心を読む能力みたいだな。なるほど、心を読んで周りの状況を推測するのか。……確かに先読みと似ているな」
「え、えっと何の事でしょうか」
「そうか」
(ちなみにさっき飲んだ紅茶には、男でも孕むような効果が……)
「いやぁああぁああっ」
「というのは冗談だったんだが、でもそうか、心を読む能力か……」
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