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「おまえのこと……抱き締めてやろうと思っただけなのにっ……」
悪戯に内腿を這う手が
「……抱き締める?」
指をかけたままピタリ止まった。
「ああ……」
「どうして?」
見上げる
子供みたいな無垢で残酷な瞳。
「どうしてって……」
衝動と倦怠。
あともうひとつ
俺の人生にあるとしたら――。
「おまえが俺の弟だから」
それは
この家で生きるには全く必要のない
家族愛という感傷的な愛情だ。
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