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とある廃墟…
一切の灯りも無く、月明かりすら入らぬ深い闇が支配するその空間に、1人の和装の少女が立っていた
腰にまで届く長い黒髪を持つその少女は、とても美しい顔立ちをしている
しかしその表情は凛々しく、何かを待っているような顔をしていた
少女
「来ましたか…」
そう少女が呟く
その呟きが闇に消えた瞬間、闇が蠢きだした
そこに現れたものは、まさに異形そのもの
巨大な甲虫…その背には何人もの人の顔が浮かび上がっており、その一人一人…いや、一つ一つが呻き声を上げている
少女
「…そんなに人間を喰らいましたか…救いの余地はありませんね…浄化します。足止めを」
?
「了解だ、お嬢様」
少女がお札を取り出した瞬間、血のように赤いロングコートを着た大柄の男が、少女の前に立つ
その両の腕には、黒い機械の大腕が付いていた
真っ黒な機械は肘まであり、赤い線の入った鉄の塊のように見える
その後ろには排煙管が三本ずつ、そこから黒煙を出しながら唸っている
大男
「らァ!!」
男が大声を上げながら、異形の甲虫を殴り上げる
異形
『ギャァァアアアアアア!!!!!』
殴られた異形は浮かび上がり、殴られた箇所は砕ける
しかし異形は声を上げず、背の顔が皆叫びを上げた
大男
「哀れな…死して尚、命を取り込みやがって…」
少女
「ならば在るべき場所へ。天へと還すのが我らの仕事です」
大男
「OK。じゃぁもう一回殺してやろう」
男は両手の拳をぶつける
すると両腕の機械がさらに唸りを上げた
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