~・万金・~

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グリーンとイエローは現在の自分達の置かれた似た状況に、いつも以上に気が合っているようだ。 「うちも似たようなものだって。もう期待なんてしてないよ」 「俺もあんな息子に継がせる気もねえからさ、このまま俺の代で終わりだわ」 眉が下がったままの二人は悲しげな顔を見合わせ、『お互い、そろそろ潮時かもなあ……』と苦笑いする。 「その点、ブルーが一番良いんじゃないか?やはり雇われる身のほうがなあ」 「ああ、給料として毎月貰えるんだ。食いっぱぐれることはないだろ?」 「確かにその面だけ見ればそうかもしれないが……現実は、羨ましがられるほどいい環境ではない」 ブルーは重い頭をうなだれ首を振る。 「この不況のご時世だ。年々給料は削られ、ボーナスなんてお愛想程度。家のローンがまだまだ残ってるって言うのに、頼みの退職金も期待できない……嫁さんは私の顔を見りゃ、恨み辛みの嵐ときたもんだ。もう私には、癒しの場がここしかないのよ~」
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