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現実を見すぎたせいか、屋台にどんよりした空気が重くのし掛かる。
「ふう……でもさ、実際世の中どう言ったってお金じゃない?理想と綺麗事をいくら並べたってね。愛と勇気と正義だって、先立つもんがなきゃ……今は世知辛い世の中なんだから」
ピンクが真っ赤な口紅をベタリと塗った唇で卵にかぶりついた。
「一億円あったらなあ……本音は山分けしたいよ。どれだけうちは助かるか」
「ひい…ふう……頭数で割れば二千万ずつだろ?そうなったら、もう店を辞めて年金と報奨金でのんびり暮らしたいよ」
「今すぐ毎月のローンに追われる生活から脱け出せる。少しは余裕のある楽な老後を送れるなあ」
「あらあら、皆さん甘いわよ~。これから先は孫にも必要になるんだから。子どもは金が必要なそんな時だけ帰ってくるからね。だけど孫は可愛いから……踊らされてるのわかっていながら、ついつい出しちゃうのよね」
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