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もう蒼には、何が本当か分からなくなっていた。
結果や有紗の言葉の真偽に関わらず、蒼は人知れずに一度失恋した。
それは事実に関わらず蒼の気持ちを揺さぶった。
「で、結局どこに行きたいんだ?」
緊張はまだ解けてはいず、ただ低くなっただけの声で蒼は言った。
「ああ、ごめん。体育館で剣道部は用事あるから、そこに行ってほしいの」
別に嫌いになったわけではない。
それでも、繋いだっきり離してくれない手を蒼は解きたかった。
歩き始めても有紗は手を離さず、周りの目を気にしながら蒼は体育館の一階に向かった。
第一体育館の一階を正面入り口から入って真っ直ぐにある通路の一番奥の部屋に二人は入っていった。
そこは体育館を単純に狭くしたような場所。
木材の色が強いその部屋は剣道場で、そこには一人の男子生徒がいた。
蒼よりも背が高く、顔もスタイルもモデルのような男子生徒。
その容姿は有紗の彼氏に相応しかった。
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