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「そうだよ。君はついてなかった。それだけのことだろ。別に珍しいことじゃないはずだよ」
らすとはそう言って有紗の方に歩き始めた。
「じゃあ俺は……何の為に……」
呟くような蒼の言葉に、らすとは足を止めて振り返った。
「くだらない。剣道がしたいなら大学でやればいいんだ。それくらいの不幸で俺に当たるな」
蒼は歯を食い縛るように口元を歪めた。
「この世に生まれたくて生まれてきた人間なんていないんだよ。俺にとって、生まれてきたこと自体が、人生最大の不運なんだ」
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