第1章

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 開経偈  無上甚深微妙法  百千万劫難遭遇  我今見聞得受持  願解如来真実儀  懺悔文  我昔所造諸悪業  皆由無始貪瞋痴  従身口意之所生  一切我今皆懺悔  三帰戒文  南無帰依仏  南無帰依法  南無帰依僧  帰依仏無上尊  帰依法離塵尊  帰依僧和合尊  帰依仏竟  帰依法竟  帰依僧竟  摩訶般若波羅蜜多心経  観自在菩薩行深 般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄 舎利子 色即是空 空即是色 色不異空 空不異色 受想行識 亦復如是 舎利子 是諸法空相 不生不滅 不垢不浄 不増不減 是故空中 無色無受想行識 無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法 無眼界 乃至無意識界 無無明 亦無無明尽 乃至無老死 亦無老死尽 無苦集滅道  無智亦無得 以無所得故 菩提薩? 依般若波羅蜜多故 心無?礙 無?礙故 無有恐怖 遠離一切顛倒夢想 究竟涅槃 三世諸仏 依般若波羅蜜多故 得阿耨多羅三藐三菩提 故知般若波羅蜜多 是大神呪 是大明呪 是無上呪 是無等等呪 能除一切苦 真実不虚 故説般若波羅蜜多呪 即説呪曰 掲諦掲諦 波羅掲諦 波羅僧掲諦 菩提薩婆訶  般若心経  普回向  願わくは此の功徳を以て、普く一切に及ぼし、  我等と衆生と、皆共に仏道を成ぜんことを。  お経の終る頃、寺の娘が仏堂の方から出てきて微笑みかけた。  「いつも、ありがとう御座います」  毎週のように、この寺に参拝していた乾であったが、この娘に会ったのは、何回かだけであった。大抵は、寺は拝観自由で、時として、乾は写経を奉納などしていたが、それも無人の本堂の、地蔵様前の香炉の傍らに置いてくるだけであった。  「こんにちは、今日は珍しいですね」  乾が、挨拶を返すと、娘は静かに答えた。  「来週に、花祭りがあるので、いろいろ準備に忙しいんです」  時折、鶯の声が寺の周囲を和やかに彩る。乾は、この娘と少し話がしたくなった。
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