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彼女は点滴が横にくっついた車椅子に乗ってやってきた。
一目見て彼女の寿命が近いことがわかった。
頭にはニット帽をかぶり、顔は化粧でもしたかのように真っ白である。
特徴だったふっくらした顔と体は今では見る影もなく、今にも折れそうなほどやせ細っている。
おかげで僕は彼女が誰なのか最初はわからなかった。
いや、性別さえもわからなかった。
女性的な顔立ちなのに髪が見えなかったこともある。
付き添いの看護士の言葉で僕はやっと彼女を彼女だと判断することができた。
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