第1章

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僕はおずおずと葵の顔を見た。 すると葵は僕の顔を見てニッコリ笑った。 幼い頃と変わらない左頬にえくぼができる微笑み。 それに右目の下の二つのホクロ。 この人は葵だ。僕は確信するしかなかった。 彼女が葵だと認めると、目からは涙が溢れていた。 僕がそのことに気付くのと葵が手を伸ばすのは同時だった。 葵は僕の涙を拭(ぬぐ)って、「大丈夫」と小さな声で言った。
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