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「理沙さん、今まで付き合ってきた人皆殺してるんだよね。金を奪って。
金持ち好きは、由美子だけじゃなくて理沙さんもだよね。
一億円取ってくるって言ってたけど、ぬすむと書いて盗るの間違いだよね。
幸夫元気? それとも、もう喋れなくしたの?
だから理沙さん、さっき由美子にしか電話しなかったんだよね多分。幸夫はもう出られないってわかってたから。
あと、ストーカーの相談で警察のワードが全然出なかったね。当たり前か。警察に相談したら下手すると自分達の方がまずいからね。連続強盗殺人事件の犯人ついに確保ってニュースに流れちゃうかもしれないからね。
海外旅行の話、楽しそうだったね。今まで盗るだけ盗ってきたし、海外逃亡旅行のつもりだったんでしょう?
マスクや眼鏡を付けるのは、免許証の写真と違っているのをバレないようにする為かな。整形して顔変わっちゃってるし、理沙さんそもそも花粉症患ってなかったもんね」
淡々と、怒っている様子もなく、抑揚の少ない声色でゆったりと、まるで伝達事項を話す機械にでもなってしまったかのように、和史くんは言い切った。
未だに表情は穏やかで、微笑が浮かび上がっているから、尚更そう感じる。
ある意味、鬼のような険相で捲し立てられるより、余程不気味で怖かった。
……そこまでわかっているのなら、もうどのように取り繕っても通じないのだろう。
私は思いの丈を、ぶちまける事に決めた。
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