何よりも、大切なもの

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私の方も今日、デートの約束をしている。とは言っても、幸夫の自宅で家デートだけれどね。 でもその前に、修理に出していたスマホを受け取りたいので、携帯ショップを訪れる予定。 念の為、身分証身分証……あった。財布の中に、運転免許証が見える。 それから、マスクに眼鏡を装着。私、見た目物凄く不審者かも……でも仕方ないよね。花粉症の季節だから、外を歩く人達も、ちらほらとマスクを付けているのが見える。 喫茶店を出て、案の定不審者だーっ、とからかってくる由美子とお別れして、携帯ショップに向かった。 異変に気が付いたのは、携帯ショップを出てからの事。 「あの人……」 思わず、足を止めた。 入口から少し離れた電信柱のすぐ端。フードを被り、立っている長身の人物。 顔は向こうを向いているからわからないが、あの人、さっき喫茶店にも居た。服装が全く同じ。 向かい側に腰掛けていた由美子の背後に、こちらに背を向け座り、フードを被ったまま飲み物を口にしていたから、印象に残っているのだ。 まさか……例のストーカー? 「……まさか、ね」 自分に言い聞かせるように口に出して、私は再び足を動かした。
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