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青木祐司は、何度も何度もパソコンに映っている画面を確認し、気付いたらガッツポーズをしていた。
「一億円か」
自分の言葉を噛み締めた祐司は、記念にとケータイで画面を撮ろうとしたが、どこかに流れてしまうかも、と思い、ケータイをしまう。
「絶対やったほうが良いぜ。俺たちなら当たるかもしれない」と、このサイトを教えてくれた黄島さんには悪いが、当たったことは彼にも黙っておこう。
こういうことは誰にも知らせない方がいいはずだ。
それにしてもなんて良いタイミングで当たったのだろうか。
祐司には5年も付き合っている彼女がいるのだが、まだ結婚を申し込めずにいた。
定職に就けてはいたが、不況のせいもあってか給料は中々上がらず、貯金も思うように貯まらなかった。結婚式はもちろんのこと、新婚旅行もが難しい現状では、プロポーズする決心が中々できなかったのだ。
よし、とプロポーズすることを決めた祐司は、再び画面をみた。
「でも本当なのか」
と確かめるため、銀行にアクセスして口座を見ると、本当に一億が入ってたことに驚く。
しかし、なんか情けないな自分、とこのお金を使って結婚することを少し躊躇った祐司は、そもそも結婚にこんな大金はいらないしな、と再びサイトにアクセスした。
「1千万で十分です。残りは返却します」
祐司はメールを送信し、9千万を振り込んだ。
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