第1章

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結局、反論の余地なく俺は新年度から理事長を兼ねることになった。 「本当に急なお話で申し訳ありません。あの方なりの優しさです。どうかご理解ください」 父の秘書はこう言うが、何が優しさなのかよくわからん。 「で?なんで龍音は必要ないんだ?」 学園での理事長職に、俺の秘書である龍音は必要ないと言われた。 だから、今も彼は会社でスケジュールの調整やらなんやらの仕事をこなしている。 「ここでは私が秘書を務めます。何もかもが新しいより、私がいた方が仕事が回りやすいだろうとの配慮です」 秘書は分割性かい。 あの親父、本格的に隠居する気かよ。 まだ若いくせに。 「それから、もうすぐ今年度からの新しい教員が来るはずなんですけど……」 何それ。 聞いてないし。 俺、学園の説明とかできないよ。 「ご安心ください。説明はすでに一度してあります。今日は入寮ということで鍵を渡すだけです」 そう言って彼はカードキーを机に置いた。 懐かしい。 あの学園でも、鍵はカードだった。 そんな思い出に耽っていると、乾いた音が2度鳴り、来訪者を告げた。
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