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「ないな。犯人も真実も、消える事などないのだからな。もし消えたとしたら、それはただ見抜けぬだけなのだ」
「ふーん……スフィーは常に見抜く自信があるんだ」
「最低限必要な情報さえそろっておればな」
……本当にスフィーにはひとかけらの不安もなかったのだろうか?
――正直、私は単なる強がりだと思うけど……まあ本当ということにしておこう。
「――まあ、とにかくやっと終わったんだよね」
私はそう言って両手を上に突き上げ、思い切り伸びをする。
――日曜日の、のどかな昼下がり。
ふと見上げると、そこには今までの陰鬱さを払拭するような晴天が広がっていた。
……これで平和な日々が戻ってきたのだ。
私はやっとそう実感する。
「さあ帰るぞ、ひねり」
立ち止まって空を見ていた私に、スフィーがそう声をかけた。
「うん、帰ろ」
微笑んで答え、また歩き出す。
私はスフィーと一緒に、ゆっくりと家路を歩いていった――。
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