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「……最後の最後で、幕を下ろすのに失敗するとはね」
自嘲的なリコ先輩の声。
「……全てあなたの推理通りよ」
私はそこでゆっくりと目を開き、リコ先輩に尋ねた。
「――教えて下さい。ムツ先輩と阿武戸先輩を殺した動機について」
リコ先輩はうつむいて、重たげに口を開いた。
「……あの強盗殺人の被害者は、私の実のお父さんだったの」
それを聞いたユイさんが驚いて言う。
「えっ……リコ先輩のお父さんは、今も生きてるはずじゃ……」
「今のお父さんは、私が生まれた時に認知しただけの、血の繋がらない父親なの。私が生まれて以来、この事実はずっと隠され続けてきたから、この件は警察でさえ知らないわ」
リコ先輩は寂しげに続ける。
「他人の目があるからめったに会えなかったけど、私はずっと本当のお父さんだと慕ってたの」
「それじゃ、今回の事件はその復讐で……」
ユイさんの呟きにリコ先輩が答えた。
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