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「許せなかった……絶対に強盗犯を殺してやろうと誓った。私自身の手で……」
リコ先輩は自分の手のひらを見つめながら呟く。
「私はその誓い通り、首謀者のムツをこの手でバラバラにしてやったわ。死体を解体したのは、林に捨てる時に運搬を楽にするためもあったけどね……」
リコ先輩は自分の手を、恐ろしいものでも見るような目で見つめた。その両手が、まるで今も血に染まっているかのように。
「……死体を切断するのには、どこの場所を使ったんですか?」
私は沈黙を破って尋ねる。
「――お父さんはあの自宅以外にも、普段は使ってない小さな家を持ってたの。お父さんは私達しか知らない秘密の隠れ家だって言って笑ってたわ。身寄りもないから、俺が死んだらお前にやろうって……」
リコ先輩はそこで声を詰まらせ、深く頭を垂れた。それから少し間を置いて、顔を伏せたまま言葉を続ける。
「その家はちょうど人気のない場所にあったから、使わせてもらったの。まさかあんな使い方をすることになるなんて夢にも思わなかったけど……」
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