90人が本棚に入れています
本棚に追加
リコ先輩はさらに言う。
「その過程で強盗殺人の件を警察に自白するようなら、それで許そうと思った。でもまさか栗栖が、あそこまでして真理亜を守り抜くなんて……」
リコ先輩はしぼり出すような声で続ける。
「……彼を死なせるつもりなんてなかった。栗栖の自殺は、人の命をもてあそんで計画を続けてきた私に対する思いがけない罰だった。もちろんそれくらいの罰じゃ足りないから、人殺しである私自身にも『死』という罰を与えなきゃって思ったの」
「……それで、あの最後の飛び下りを決行したんですね」
私はぽつりと言う。
「ええ、そうよ。でもこうして生き残ってるなんて、悪運だけは強いようね。まるで呪われてるみたいに――」
――私は悲しくなって、リコ先輩をこのままそっとしておいてあげたい気持ちに駆られたが……残る最後の疑問を解くために、仕方なく質問した。
最初のコメントを投稿しよう!