17 消えなかった真実

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17 消えなかった真実

 病院からの帰り道。  私とスフィーは並んで歩きながら、事件について話をした。 「――呪いにとらわれた『依代』は悪意が増幅し、本来なら起こさなかった事件を起こす。それはいかなる善人をも狂わせてしまうのだ」  スフィーが悲しげに言う。 「うん、リコ先輩は本当は殺人鬼なんかじゃないんだよね」  私はそう言って、しみじみと事件を振り返ってみた。 「――だけど本当に事件が解決できてよかったよね。リコ先輩は自分が死ねなかったのを『悪運』っていったけど――あれは『救い』だったんだよね」  私の言葉にスフィーは頷く。 「そうだな。もしリコがあのまま死んでいたら、全ては終わっていただろう」 「私ね――正直今回の事件も、昔あった『首盗り鬼事件』みたいに、全てが闇に消えたまま終わっちゃうんじゃないかってずっと思ってたんだ」  安堵の気持ちから、私はふと本音を漏らす。 「ねえ……スフィーは事件の最中、ほんのちょっとでもそんな気持ちになったことなかった?」  スフィーはそれに首を振って答えた。
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