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宇宙に飲み込まれてしまうような、深い夢だったと思う。
けれど、それは浅い夢の中のお話で。
いつの間にかリクとお兄さんが同化して、そこには柔らかい髪の毛と細くて白い手があるだけ。
お兄さんの顔は髪の毛で半分くらい隠れてる。
『沢山、沢山のものに出会って、沢山のものを見て、沢山のものを愛して』
永く、永く生きるんだよ。
私が触れた手はとても冷たくて、まるで宇宙の果てみたい。
宇宙の果てなんて行ったことがないけれど、そう思った。
ねえ、おにいさん。
キスして。
私の声が薄明るい闇にこだまして、彼は優しく微笑んだ。
ねえ・・・
終.
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