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お母さんもお父さんも最初は反対したけれど、私が泣き叫ぶとリクはあっさり家族の一員になった。
それはもういとも簡単に。
なんだかんだ動物好きのお父さんと私に甘やかされたリクは一年もしない内に大きくなって、小学生になった私を毎日見送り、出迎えてくれた。
ときどき道端でお兄さんを見かけると、お兄さんは嬉しそうにリクを撫で、同じように私の前髪を掻き上げて、やっぱり優しくキスをする。
「リクも君も、どんどん大きくなるね」
此間までこんなだったのに。
そう言って示した高さは、お兄さんの腰の高さにも満たない。
「ひどい!そんなに小さくないよ」
「あはは。そうだったかな」
「そうだよ!」
「ごめんごめん」
小学生の私に、お兄さんは最近何も拾ってこない。
こうして出会えば話してくれるけど、前みたいにわざわざ何かを持ってくることはない。
それがとてつもなく寂しくて不安だったのは、お兄さんが幼いながらにも私の初恋の人だったからだと思う。
ねえ、おにいさん。
初恋だったんだよ。
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