第1章

3/9
前へ
/9ページ
次へ
それから10分後に雪音が到着した。 「おはようございます。徒粟さん。今日からよろしくお願いします。」 「ん?それってどうゆう・・・」 「そのままの意味です。今日からここに住むことになります。」 それを聞いた俺は驚きを隠せなかった。 「はぁ?ちょっ、あんた何言って・・・」 「私が住んでいたマンションはもう売り払って、頼れる場所はここしかありません。それにこれはバイトに含まれていることです。」 「ってことは、もちろん俺に拒否権は、」 「はい、ありません。」 満面な笑顔で答えた雪音は自分の荷物をどこに置ば良いか聞いてきた。 俺はとりあえず友人が泊まる時に使うもう一つの寝室を使うように言った。 「こんなに大きなマンションの一室を借りることができる徒粟さんはお金持ちなんですね。」 「いやこの一室はもともと俺の家族が使っていたものだから所有者は俺の両親という事になっている。それにこの一室は購入しているから管理とライフラインの費用くらいはバイトぐらいしてれば誰だってだせますよ。」 「ではそのご両親は?」 「・・・死んだよ。3年前に。」 徒粟の一言で二人の間に重い空気が流れたと思われたが、 「ってことは私と同じですね。実は私も6年前に両親を亡くしました。」 「なんだあんたもか。」 「っとゆうことで、これからは同族同士仲良く暮らしてゆきましょう。」 「たったの1年だけですけど。」 「その1年間で私を退屈にさせないでくださいね。」 「ええ、努力しますよ。」 それ後、雪音は引越しの片付けを済ませると言って部屋にこもってしまった。俺はその間に今日の夕食を作ることにした。いつもなら面倒くさいので野菜炒めとご飯と味噌汁といった簡単な料理にするところだが、せっかくの引越し祝いだったので、少し腕を振るうことにした。 その二時間後、雪音が 「終わりました。」 と言ってリビングに来た。 「お疲れ様。飯もうできるからそこで休んでてください。」 「ありがとうございます。すいませんがテレビのリモコンはどこですか?」 「こっちのテーブルに。」 「近いのでとっていただけませんか。」 俺は家事を中断してそばにあるリモコンを雪音に渡した。 「ありがとうございます。」 こんな他愛もない会話を続けながらもなんとか夕食ができたので、雪音に声をかけた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加