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馨「着替え終わりました。」
時「お待たせしましたー。」
勇「はーい、じゃあ仕事の説明をっ!?」
カション
着替え終えた双子の姿を見た勇の手から、ファイルが滑り落ちた。
何故なら、
勇「…こっちが馨ちゃん?」
時「違いますー。俺は時雨ですー。」
勇「じゃあこの執事さんは…」
馨「馨です。」
双子の服は逆、つまり馨が執事服、時雨がメイド服を着ていたのだ。
しかも時雨はエクステでツインテールにし、本格的だ。
時「いやー、俺女顔過ぎて執事服似合わなくて!!だったら交換しようー、ってなったんです。」
馨「僕達は双子ですし、問題無いと思いましたので、勝手に替えさせていただきました。無断で申し訳ありません。」
勇「あ、あぁ、うん…特に問題は無さそうだから、いいけど…。」
既に執事キャラに変えているのだろうか、急に動きが優雅になり、腰を折った馨に、勇は少し戸惑いつつも仕事の説明を始めた。
まぁ、ホールでの接客、オーダー取り等である。
時「料理運ぶときにメイドさんっぽい事すればいいですか?」
勇「そうそう。できる?」
馨「シグ、意外とサブカル系好きなので得意ですよ。僕もですが。」
時「はい!!…萌え萌えキュン☆、とか言ってwww」
可愛らしく両手でハートを作る時雨は、本当に女子にしか見えない。
対して、白手袋を着けた手でネクタイを直す馨も、どこぞの漫画から飛び出したイケメン執事の様だ。
あの娘、二人見たらどんな反応するかな、と勇はずっと接客をしている男前メイドに思いを馳せた。
時「じゃあ早速行ってきますね♪馨、行こう。」
馨「わかってる。」
双子は小さなメモ帳と丸盆を持ち、馨は腕にナプキンを掛け、ホールへと出た。
メイド「……お前ら、似合ってるな。」
時「あ、やっぱりそうですよね?」
馨「シグ、イタい。」
時「もー!!その呼び方男みたいだからやめてって言ってるじゃん!!」
ポカポカと可愛らしく馨を叩く時雨。
どう見ても可愛いメイドさんだが、時雨は男である。
演技なだけで。
時「馨、バレないでよ?」ボソッ
馨「こっちの台詞。」ボソッ
「「さぁ、狩りを始めよう。」」
穏やかな目付きの奥に戦士を宿した双子は、戦場へと踏み出した。
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