プロローグ

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窓から吹く風に髪を揺らしながら、立花蛍は外を眺めていた。 その服装や姿は端から見れば黄昏るイケメンにしか見えないが、蛍はれっきとした女の子である。 鼎「ねぇ蛍、蛍ってば!!」 蛍「鼎か。どうした?」 鼎「もう!!…ほら、今日転校生が来るじゃない?えっと、ゆ…ゆき…」 やはりか。 蛍は親友である矢島鼎の案の定の話題に顔を綻ばせた。 蛍「双子の転校生、倖乃木さんだよ。」 鼎「そう!!倖乃木ツインズ!!二人を見た人がいるらしいの!!」 蛍「で、何て言ってたんだ?」 鼎「鏡合わせみたいな男の双子…って。あと、」 蛍「あと?」 次に鼎の発した言葉は、少なからず蛍の思考を一時停止させた。 鼎「雰囲気が蛍に似てるって。」 蛍「…?それってどういう…」 意味、と続けようとした蛍の言葉は、教師が入ってきた音で掻き消された。 鼎「あ、来ちゃった。」 蛍「おい、鼎!!」 教師「ほら、始めるぞー。」 結局、よくわからなかった…。 蛍は心の中で文句を言って、教師の話に集中した。 教師「今日転校生が来るのは知ってるだろうから入れるぞ。…入ってきてくれ。」 ?「はーい。」 ガラッ そして入ってきた二人を見て、蛍は絶句した。 蛍「あ、あ、ALBIONの!?」 時「あー、立花さんだー。」 馨「…あぁ、トイ☆ガンガンの。」 教師「ん?何だ立花。知り合いか?」 ついこの前のTGCで、準決勝で自分達トイ☆ガンガンを打ち負かし、さらにホシシロをも倒したチーム、ALBIONの"悪魔双子"が目の前に現れたのだ。 それは驚くだろう。 しかし教師にサバイバルゲームとは言えないのである。 悩む蛍。そこへ助け船が現れた。 時「俺達、シューティングゲームで知り合ったんです!!ねー、立花さん。」 馨「…強かったですよ。」 教師「そうなのか?立花。」 蛍「あぁ、はい!!そうです!!立花は負けてしまいましたが…。」 教師「ふむ。まぁとりあえず倖乃木、自己紹介を頼む。」 時雨が蛍に悪戯っぽく微笑むと、馨が壇上へ引っ張った。 時「馨からだと騒がしくなっちゃうから俺から。俺、倖乃木時雨。馨からはシグって呼ばれてるよ。よろしくね。あと、……馨に手ぇ出したらぶっ殺す。」 「「「っ!!!!!!」」」 殺気。 蛍がサバゲーで何度も感じる殺気を、今この場で、前触れもなく、目の前の少年は発した。 蛍は自らだけでなくクラス全員が身震いするのを感じた。 ゴツッ 時「いたっ!!…馨ー…酷いよー。」 馨「自業自得だ。馬鹿。」 しかし繰り広げられる喧嘩に、空気は和らぐ。
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