寝言アプリ

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 眠る私の頭の上に。何やら白いものが浮かんでいる。そして、ぼそぼそと私に何やら話しかけている。  その、内容の聞こえない発言に、私が寝言で拒絶を返していた。『無理』、『ダメ』、『行けない』…。  今日は、起きたらこのメンバーで遊園地に行く予定だったけれど、急遽予定が変わった。  他の友達や知り合いヅテに、信頼度の高い霊能者の情報を得て、みんなでそこに行くことになったのだ。  結論から言うと、私は霊に憑りつかれていた。たまたま波長が合った浮遊霊が私に憑りつき、真夜中に、私をあの世へ連れて行こうと囁きかけていたのだ。だけど生きたいと願う私の本能は、それを寝言で断り続けていたらしい。  もし寝言を録音するアプリがなかったら、私は自分の寝言に気づかなかっただろう。もちろん、友達に寝言を喋るなんてことを話すこともないから、周りが、今後のネタにと、お泊り会の時に動画や新たな寝言を録音する準備をすることもなかった。霊に憑りつかれていると気づくこともなかった。  そして、何も気づかずずっと憑依されていたら、もしかしたら気持ちがへこんでいる時とかに、うっかり誘いに応じてしまった可能性もあるのだ。  その辺りは今思い返してもぞっとする。本当に、あのアプリと友達には感謝以外の言葉がない。  ちなみにこの件以降、私は知り合う人総てに、寝言録音アプリを使ってみることを勧めている。そして、あまりに意味不明な寝言を言っていると判明した人には、可能ならば、その光景を映像で撮影することも勧めている。寝ている間の知らないやりとりで、あの世に連れて行かれるなんて、イヤだもんね。 寝言アプリ…完
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