寝言アプリ

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寝言アプリ

 うちの両親は、揃って寝言やいびきがひどい。  深夜に変な音がしたり、話声がするから窺って見ると、それぞれに高いびきだったり独り語り部をしていたりの状態。  この血が合わせて流れているからには、もしや自分も、寝言やいびきがひどいんじゃないだろうか。旅行の時とか、実は友達に迷惑をかけまくっているんじゃないだろうか。  そんな心配がむくむくと膨らみ、寝言録音アプリを使ってみることにした。  説明通りにアプリを設定し、翌日、何か言っているかどうかを聞いてみる。  …うわぁ。喋ってる喋ってる。  まるで、誰かと会話してるみたいな寝言。というか、『ごめんなさい。私、行けない』とか『無理よ。諦めて』とか、聞けば聞く程昼ドラのセリフみたい。  覚えてないけど、どんな夢を見てたんだろう。というか彼氏もいないのにこんな夢見ちゃってるの?  自分が無意識で喋ってることなのに、笑ってしまう。変なのー。  でも、私はやっぱり寝言を喋るタイプなんだと判ってよかった。旅行やお泊り会の時、あらかじめ友達に言っておけるし、いびきよりはネタにもできる。その程度だった。  それから二ヶ月程経ったある日、友達の家で仲良し数人のお泊り会をした。  お気に入りのパジャマできゃいきゃいはしゃぎ、近所迷惑にならない時間に就寝。そんな流れだったんだけど…。  翌朝、まだかなり早い時間に起こされ、私は眠い目をこすりながら周りを見た。  私以外のみんなはもう起きていて、心配そうこっちを見ている。 「どうしたの?」  状況が飲み込めず、問いかけると、一人がスマホを差し出した。寝言アプリで録音したらしき、私の昼ドラセリフ寝言が流れ出す。  ああ、やっぱり今夜も寝言を喋ってたんだなと、私は苦笑いを浮かべたが笑っているのは私だけで、みんなはそろって強張った表情をしている。  そのただならぬ様子に、自然と私の表情も強張ったところへ、今度は動画を見せられた。
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