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くじに当たった。 何度も、手元にあるくじと、テレビで発表された番号とを見比べる。 うん、間違いない。 思わずガッツポーズをした俺。 一億円。 当たったらどうしようか。 ずっと考えてたけど、このとき俺の頭に浮かんだのはたった一つ。 ずばり、告る。 今好きなのは、外見はパーフェクトだけど金の亡者なあの子。 ついにそのときが来た。 校門の前に立って待ち伏せをする。 だいぶ待って、やっとあの子は来た。 スラリと伸びた足、くびれた腹、長いサラサラの黒髪。 化粧はきっちりしてるけど、素顔を見たことのある俺はそうしなくても十分かわいいことを知っている。 「あんた……」 近寄ってきた俺に顔を歪めて君が言う。 にっこり笑って俺はくじを見せ、膝を着いてプロポーズをした。 これで君に何でも買ってあげられる、愛してるよ、結婚してほしい。 恥ずかしかったのかな。口元を抑えて君は走り出した。 まぁいいや。 校門で待っていれば、また来てくれるよね? その時に答え、聞かせてね? 「先生!」 職員室に駆け込んできた女子生徒は、担任の教師にすがりついた。カタカタと身体を小刻みに震わせている。 「どうしたの?何があったの?」 担任の教師は、オロオロしながら女子生徒の背中を撫でる。 女子生徒は涙目で訴えた。 「またあの男が来たの!昨日と同じように、変な紙切れ持って、結婚がどうとか言って!」 「お願い、警察に連絡して!もう一週間も続いてるの、耐えられない!」 ワッと女子生徒は泣き出した。
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