夢つかみそこねる夢みて

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 今回の作品は、赤い和紙の下地に黒と白の絵の具をひたすら塗り潰していくというもの。赤は血の色。白は真実。黒は闇。自然と闇の部分が大きくなってゆく。  ピンポーン。チャイムの音が聞こえる。きっと千夏ちゃんだ。  「夢ちゃん生きてる~?食料持ってきたよ!ちゃんと食べないと、良い作品出来ないよ~!」  彼女は専門学校の大親友、正岡千夏ちゃん。きっと私が男だったら、完全に彼女のヒモに成り下がっていただろう。いや、もはや私はヒモなのかもしれない。彼女は時々こうやって食料片手にやってきては、私の面倒を見てくれている。そして、料理がとても上手なかわいい子なのである。
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