午前中

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午前中

私は、総合機器メーカーの開発員をしている。 今は、私の企画はないので、部下の手伝いをしている。 一応、課長なので、部下は数名、かかえている。 「おっと!」 ひとりの部下が、階段から落ちそうになった。 少し、手助けをしただけだ。 「課長すみません、ありがとうございました」 かけ出していってしまった。 一般開発員の山神さんだ。 かなりの美人なので、男子社員の注目の的だ。 「課長!山神さんに手、出しちゃダメですよ!」 と、部下の麻生に言われた。 暫しの休息を取る事にした。 ここには、喫茶ルームがあり、お金はいらない。 部下たちもやってきたようだ。 喫煙室もあるので、部下たちは軽く会釈をして、 部屋に入った。 私は一時期、吸っていたのだが、身体に合わなかったのか、 自然と欲しくなくなったので、今は吸っていない。 さっき助けた事になった山神が、私のそばで立っている。 「課長、これ…」 と、私になにやらくれるようだ。 「あぁ、ありがとう」 といって、ありがたくもらった。 山神は、また走るようにして逃げて行った。 (なんなんだ?) と、不思議に思い、白衣のポケットにしまいこんだ。 どうやらそれを、麻生たちが見ていたようだ。 散々冷やかされて、部署に戻って行った。 私も部署に戻った。
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