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「もう少しわがままになればよかったね。」
自分を振り返る。
思えば、両親にわがままを言った記憶がない。そんなこと言えなかったし言ってはイケないと一歩下がってしまっていた。
わがままを言えば良かった。子どもらしく・・・もっと言えばよかった。
そうしたら、そう出来たなら〝何か〟が変わっていたのかもしれない。
「今更だよね・・・。」
自分を見つめ直すと笑いが込み上げる。
》 》
「燵夜くん。」
「月依さん、なんで?俺に逢ってくれますか?」
「いいや。」
「・・・そうですか。」
「逢う逢わないじゃない。」
「え?」
「居ないんだ、どこにも。」
「来てないってことですか?」
「違う。病室にいないんだよ。」
「・・・あの、話しがよく・・・・・・。」
「落ち着いて訊け。本当は、本人に直接話しをさせるつもりだったけど緊急事態だから俺が話しをする。」
男の話しの内容が全く解らない。
「月依は、病気だ。」
それは、思いもよらない答えだった。
その話しは、彼女の行動の全てを説明できる内容だった。
「きっと、屋上に居る。」
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