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「でしょうね。自力で歩くのがやっとだし、ご飯も食べにくい・・・まぁ、もともとあんまりいらないからいいけど。」
「食事は1番大切なんだから手を抜くなよ。」
「先生。最近言葉使いが雑ですよ。」
「君の態度が悪いから〝イイ先生〟スタイルはやめにした。」
「そうですか。まぁ、神妙にならない先生で助かってますけど。」
「ほら、病室に戻れ。」
「はーい。」
まるで友達のような関係性になっていた。
「緩和ケアでは、してやれることは少ないんだ。」
医師なりの葛藤があった。
「若狭さん、妹さんいるのよね?」
「どうかしました?」
看護師に呼び止められて振り向いた。
「出産されたみたいよ。」
「そう・・・・・・ですか。」
あの日世界を壊した子が生まれたと訊いて何故だか逢いたくなってしまった。
「産婦人科病棟に行けば逢えますよね。」
「ええ、案内しましょうか?」
「いいえ、自分でいけます。でも、今日は疲れたのでまたにします。」
「そう。おめでとう。」
明るい声があの日をぶり返させる。
「(めでたくない・・・・・・)
っ。」
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