148人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
一気に心因性の目眩に襲われる。
「若狭さん!!」
床に座り込んだので看護師が慌ててやって来る。
「大丈夫、です。」
気持ちが心を蝕む。
「お部屋に戻りましょう。」
車いすに軽々と乗せられて病室に向かう。
》 》
頑張ったって無理なのだ。
だから受け入れなくてはならない。
頭では解っているのに・・・・・・。
心が返事をしない。
ジタバタする場合じゃない。
解っている。
今更求めても無理なのは・・・解っている。それでも求めてしまう。
〝愛〟が・・・・・・〝愛が、欲しい〟
無い物ねだりな人生がもうすぐ終わる。
私の愛は・・・・・・
《 《
面会時間が終わる少し前に産婦人科病棟を訪れた。
「あの・・・鈴村 瑠々の姉です。」
「ああ、お姉さん。逢いにいらしたんですね。」
「はい・・・。抱いてもいいですか?」
「もちろんです。」
「ありがとう。」
新生児室に入るとミルクの匂いがした。
「どうぞ。」
小さい子がやって来た。
「まだ、名前が決まってないんです。」
「そう、ですか。」
最初のコメントを投稿しよう!