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その足音を訊いて月依は、張っていた気が抜けた。
どさっと何かが落ちた音がして足を止めて振り返った。
「月依!!」
廊下に彼女が倒れていた。
「月依、おい、月依!!」
抱き起こして名前を呼ぶ。
》 》
終わりがあるから始まりがあるのだ。
そんな言葉どうでもいい。
私には不平等な世界しかくれなかった。
生まれた意味を考える。
《 《
どんなに眠っても身体の怠さが抜けなくなってきた。
それ程に病魔が迫って来ていたんだ。
「先生。彼女なんの病気ですか?」
「どなたですか?」
「元婚約者です。」
〝同僚〟とは、答えなかった。
「どうですか。こちらへ。」
「先生。」
「本当は、誰にも言わないよう言われていましたがお話しします。」
「お願いします。」
オフィスに入り椅子に座る。
「実は、悪性の脳腫瘍です。」
「はい・・・?」
「本当です。すでに色々な症状が出ていて先程のように意識を失う回数も増えています。若狭さんの場合脳幹と言ってとても手術が難しい所に出来ていました。」
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