第4章 アンドロイドの心

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それは、突然起った。 ルチルさんの部屋から外へ出るやいなや、パンジーが私を 抱き上げて無言で夜空を飛んだ。 「パンジーどうしたの? 私は部屋へ戻りたいわ」と、呟い たものの、満点の星空が美しく輝き、私の瞳に余すところなく 鮮やかに映った。 「美しすぎるわ……」 全ての星を天にも昇る気持ちで眺め、私は感激した。すると、 「ルビー、嬉しい?」と、パンジーが尋ねた。 「ええ。とっても嬉しいわ」と、囁いた。それからパンジー が私を山の高原へ連れていくと、ゆっくり片手を出した。 (これはどういう意味なの?) 一瞬迷ったけれど、「手を繋ぎたいのね」って、ロボットの 大きな手に自分の手を乗せたけれど、「こんなこと、信じら れないわ」と、思った。 私達は坂を少し歩いた。けれど私の心臓は勝手にドク ドク騒ぎ激しく動いてた。 不意にパンジーが、「ルビー、目を閉じて」と、囁いた。 私が素直に目を閉じれば、彼は私を抱き上げ少しだけ歩い た。それから、「目を開けて」って、言った。 「わぁ……。何て美しいの。とっても綺麗だわ」 それ以上の言葉が見つからなかったけれど、私の瞳は潤ん だ。 下から広がったこの世界こそ、艶やかな天の川銀河だった。 「私は幸せだわ。本当よ」空を眺めながらそっと呟いた。 「僕も幸せ」パンジーもそう言ったけれど、まるでロボット でなかった。 私は彼を見つめた。そして、「あなたが好き」って、思わず 心で囁いた。けれど、「まさか」って驚いた。どうやらロ ボットに恋をしてしまったらしい。 「頑張れルビー! あなたの恋人は果たして誰かしら?」
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